トワイライト、新版画ー小林清親から川瀬巴水まで(会期:2026.2.19-5.24)
川瀬巴水らの「新版画」や、その前駆者である小林清親らの「光線画」など、スミソニアン国立アジア美術館所蔵の版画作品91点を含む150点の作品を展示する展覧会です。

第1 概要
本展示会は、以下の2部構成となっています。
第1部 小林清親と浮世絵
第2部 風景版画の展開
各作品は、「開化絵」、「光線画」、「新作版画」そして「新版画」と、ほぼ時系列に並べられており、明治期以降の日本の版画作品の展開を辿ることができます。
第1部の中心は、小林清親(1847-1915)やその後継者である井上安治(1864-1889)らによる「光線画」です。「光線画」とは、「劇的に光と陰影を強調することによって空間と対象を捉える手法」のことです(公式図録52頁参照)。バロック的な劇的な表現が特色です。
下記の作例は、小林清親の「大川岸一之橋遠景」(1880年)です。人物の姿が影絵のように闇に隠れています。

下記の作例は、小林清親の「日本橋夜」(1881年)です。闇夜に灯る街の光が印象的です。

下記の作例は、井上安治の「東京真画名所図解 鹿鳴館」(1883-1889年)です。小ぶりの作例ですが、満月に照らされる夜空と建物から漏れる光に詩情を感じます。

第2部は、伊藤深水(1898-1972年)、吉田博(1876-1950年)そして川瀬巴水(1883-1957年)といった「新版画」の作品と、その先行者に位置づけられる高橋松亨(1871-1945年)らによる「新作版画」の作品が展示されていました。
第2 雑感
日本の版画史上、江戸期の「浮世絵」と大正期の「新版画」の間の時期に、「光線画」があることを知りました。文明開化の波に飲まれるように消えゆく江戸情緒を描き出した「光線画」は、その本質において「新版画」に通じるものがあると思いました。
なお、小林清親は、以下のような明るく、ユーモラスな作例(「武蔵百景之内 深かわ木場」1884年)も残しています。

