アンドリュー・ワイエス展(会期:2026.4.28-7.5)
アメリカの原風景を具象的に描き続けたアンドリュー・ワイエス(1917-2009年)の画業を、「境界」をキーワードとして回顧する展覧会です。

第1 概要
本展覧会は、以下の5章構成で、概ね年代順に102作品が飾られていました。
Ⅰ ワイエスという画家
Ⅱ 光と影
Ⅲ ニューイングランドの家ーオルソン・ハウス
Ⅳ まなざしのひろがり
Ⅴ 境界あるいは窓
中心となる章は、「Ⅲ ニューイングランドの家ーオルソン・ハウス」で、初めてオルソン・ハウスを訪れた1939年から、オルソン姉弟が相次いで亡くなった後の1968年までに描かれた51作品が展示されていました。続く2章では、画家が日常生活で遭遇する印象的な瞬間を題材として、生と死を含む境界のこちら側と向こう側を描いた作品が展示されていました。
下記の作例は、ワイエスのスタジオ内を描いた「ハイスツール」(1985年)です。大きな窓から注ぎ込む強い日差しが印象的です。

下記の作例は、ワイエスの自宅の母屋を描いた「花びら」(1991年)です。薄曇りの空と同じ白色の花びらから、ゆっくりとした時間の流れを感じます。

下記の作例は、町の集会所を画題とした「ノックス・クレンジ」(1987年)です。白色の外観の2つの物を組み合わせて、横長の安定した構図を作っています。

下記の作例は、画家の妻ベッツイが描かれた「ヒトデ」(1986年)です。窓の外に広がる世界に、遠さと近さを感じさせる作品です。

下記の作例は、クリスティーナ・オルソンが亡くなった翌年に描かれた、「薄氷」(1969年)です。110.2×121.9cmのやや大型の作品で、枯葉の浮かぶ水面とその折れ重なる水底は、それぞれ生と死の2つの世界の暗喩のようでした。

第2 雑感
光と影、そして、障壁の向こう側とこちら側との対比から、画家の生と死に関する深い考察を感じました。特に、「薄氷」(1969年)は、重厚さと存在感があり、印象深いものでした。
