ウジェーヌ・ブーダン展ー瞬間の美学、光の探求(会期:2026.4.11-6.21)
移ろいゆく光と大気の瞬間を切り取った数々の海景画で知られるウジェーヌ・ブーダン(1824-1898)の画業を、ジャンル毎に選ばれた作品を通じて振り返る回顧展です。

第1 概要
本展覧会は、「Ⅰ.海景ー海景画家の誕生」(18作品)、「Ⅱ.空ー瞬間の美学、光の探求」(9作品)、「素描-Part1 樹々、空、船、海ー本質を捉える」(27作品)、「Ⅲ.風景ーバルビゾン派からの学び」(6作品)、「Ⅳ.建築ー旅する画家が見た風景」(8作品)、「Ⅴ.動物ー身近なものへの眼差し」(10作品)、「Ⅵ.人物ー戸外の群像表現」(11作品)、「素描-Part2 人物研究」(15作品)そして「版画ーイメージの伝播」(10作品)の8部構成(114作品)です。
以下、画家の代名詞といえる海景画の中から、印象的な作例をご紹介します。
1 ブルターニュ地方
ブーダンは、1869年から1872年にかけて、ブルターニュ地方の港町であるカマレに滞在し、作品を制作しました。下記の作例は、「カマレ、湾、干潟」(1871年)です。傾いた船とともに、厳しい自然環境の下で暮らす人々の姿が描かれています。

2 ノルマンディー地方
ブーダンは、1882年にパリ市内にアトリエを構えてから、海景画の大作を次々と制作して、名声を高めていきました。下記の作例は、ルアーブルの海景を描いた「海景」(1883年)で、縦56×横90.8cmの大きさです。

3 ノール=パ・ド・カレー地方
フランス北部の海辺の街、ベルクは、19世紀以降、パリから鉄道で3時間の立地を活かして、都会の人々が訪れる保養地として栄えました。下記の作例は、「ベルク、海岸」(1881年)です。広大な砂浜の上に、広々と描かれた空が印象的です。

下記の作例は、「ベルク、出航」(1890年)で、横79×縦110.2cmのやや大きなサイズの作例です。画家晩年の力強い筆致が特徴的で、海原に乗り出す船団の力強さが伝わってきます。

4 再び、ノルマンディー地方
ブーダンは、1896年の夏の終わり頃、ベルクとル・アーブルの中間地点にある港町であるディエップに滞在しました。下記の作例は、「ディエップの港」(1896年)です。画家最晩年の作例の一つであり、帆船や白い断崖が大気の合間に浮かび上がるように描かれています。

第2 収蔵品の展示
ゴッホの「ひまわり」以外の収蔵品は、展覧会ごとに展示作品が入れ替わります。以下、今回の展示作品のうち、2点をご紹介します。
1 アンドレ・ドラン(Andre Derain)の「海辺」(制作年不詳)
同じく海景をモチーフとした作例ですが、ブーダンの作例と比べると、単純化された形態と橙色の強い色彩が印象的です。

2 ポール・セザンヌ(Paul Cezanne)の「りんごとナプキン」(1879-1880年)
長持ち上に配置された、黄色、緑色、そして赤色のりんごが、一つ一つの質感や重量感を保持しており、色と形で表象される物の実在性を感じました。

